Ⅰ 支援の質の確保・向上に向けた取組
1. 依頼者との契約に基づく義務の履行
- 依頼者との契約に基づき、善良な管理者としての注意(善管注意義務)をもって仲介業務・FA(フィナンシャル・アドバイザー) 業務に従事しなければならない。
- 仲介業務の場合、いずれか一方の利益を優先し、又はいずれか一方の利益を不当に害するような対応を行ってはならない。
2. 職業倫理の遵守
- 契約上の義務を負うかにかかわらず、職業倫理として依頼者の意思を尊重し、利益を実現するための対応が求められる。
3. 経営トップの意識
- 知識・能力向上と、適正な業務遂行を図ることが不可欠であることを認識する。
4. 知識・能力の向上のための取組み
5. 適正な業務遂行を確保するための取組
- 役職員に倫理観の醸成を図り、適正な業務を確保する必要がある。
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弊社はSBIグループの一員として、SBIグループ5つの経営理念に表される進取の精神のもと「顧客中心主義」を徹底してまいります。
【SBIグループ経営理念】
- 正しい倫理的価値観を持つ
「法律に触れないか」、「儲かるか」ではなく、それをすることが社会正義に照らして正しいかどうかを判断基準として事業を行う。
- 金融イノベーターたれ
従来の金融のあり方に変革を与え、インターネットの持つ爆発的な価格破壊力を利用し、より顧客の便益を高める金融サービスを提供する。
- 新産業クリエーターを目指す
21世紀の中核的産業の創造および育成を担うリーディング・カンパニーとなる。
- セルフエボリューションの継続
「創意工夫」と「自己変革」により経済環境の変化に柔軟に適応すべく、自己進化し続ける。
- 社会的責任を全うする
SBIグループ各社は、社会の一構成要素としての社会性を認識し、さまざまなステークホルダー(利害関係者)の要請に応えつつ、社会の維持・発展に貢献していく。
また、弊社の親会社であるSBI証券が掲げる顧客中心主義に基づく業務運営方針は「中小M&Aガイドライン」をまさに包含するものであります。弊社も本方針に則りM&A業界の規範となる企業を目指してまいります。
【顧客中心主義に基づく業務運営方針】
<方針1:お客さまの最善の利益の追求> 高度な専門性と職業倫理を保持し、お客様に対して誠実・公正に業務を行い、お客様本位の良質なサービスを提供するよう努めます。
<方針2:利益相反の適切な管理> 仲介業務の場合、両当事者間で発生する利益相反を把握し、公平な対応を行うことがお客様との信頼を構築し、ひいてはお客様の利益を守るために重要であると考えます。
<方針3:手数料等の明確化> サービス提供に付随してお客様に負担いただく手数料等について、ご理解いただいた上で安心してM&A支援業務を委託いただくことが重要であると考えております。そのためにお客様が負担する手数料その他の費用の詳細をお客様に適切に情報提供いたします。
<方針4:重要な情報の分かりやすい提供> M&Aプロセスの中で重要な情報を明確化し、お客様に分かりやすく説明を行います。また、想定されるリスク等についても、低減化に努めるとともに、リスクの存在をお客様が理解されるよう説明を行います。
<方針5:お客さまにふさわしいサービスの提供> お客様のご要望はもちろん、会社の事業内容、外部環境や将来像の理解に努め、お客様に最もふさわしい候補先の選定やM&Aプロセスの提案を行います。
<方針6:従業員に対する適切な動機づけの枠組み等> 従業員一人ひとりが、お客様の最善の利益の追求を意識し、行動できるような社内体制の構築が不可欠であると考えます。顧客中心主義を徹底する企業文化の構築を目指します。
以上の「SBIグループ経営理念」および「顧客中心主義に基づく業務運営方針」に従い、M&A支援の質の確保・向上に向けた取組みに全社をあげて取り組んでまいります。
1. 依頼者との契約に基づく義務の履行 「顧客中心主義に基づく業務運営方針」の方針1にあります通り、お客様の最善の利益の追求し、正しい倫理的価値観を持ち、利益相反に関しても適切な管理を行い、弊社の義務を履行してまいります。
2. 職業倫理の遵守 顧客中心主義を徹底し、お客様の最善の利益の追求を目指してまいります。
3. 経営トップの意識 社会的責任を全うするため、従業員一人ひとりの意識を醸成し、また、総合金融グループと士業専門家グループとの連携により、高品位なサービス提供を努めます。また、そうした取組みが重要であることを社内外に発信するとともに、発信したメッセージと整合した取組みを実施しております。
4. 知識・能力の向上のための取組 セルフレボリューションの継続を実現させるため従業員への適切な動機づけを実施します。
5. 適正な業務遂行を確保するための取組 顧客中心主義の徹底こそが適正な業務遂行の礎になると考えます。そのために社員研修の実施等、従業員一人ひとりの質の向上に引き続き注力してまいります。 また、業務の一部を第三者に委託する場合、外部委託先における業務の適正な遂行を確保するための取組みを実施しています。
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Ⅱ M&Aプロセスにおける具体的な行動指針
1. 意思決定
- 専門的な知見に基づき、M&Aで想定されるメリット・デメリットを踏まえ実践的な提案を行い、依頼者の意思決定を支援する。
- 仲介契約・FA契約の締結に向けた営業・広告活動は、職業倫理等の規律を遵守する。
- M&Aを進めるか否かの意思決定に影響を及ぼす事項について、虚偽や事実に相違する説明等、誤認を招くような営業は行ってはならない。
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M&A以外の選択肢(親族内承継、社内承継、株式公開、清算・廃業等)との比較説明からM&Aにおけるメリット・デメリットを含め、資料に基づき体系的にご理解いただけるよう努めております。情報の取扱いについては、社内含め、M&Aにおけるステークホルダー(利害関係者等)との関係性を深く理解し、情報開示方法から管理まで善管注意義務を負った者として徹底管理をいたします。 また、M&Aを実施する意向がない旨、仲介契約・FA契約を締結しない旨、または引き続き営業・広告を受けることを希望しない旨の意思表示がされた場合には、ただちに営業・広告を停止するとともに、その内容を組織的に記録します。その上で、営業・広告をお断りされたお客様に対し、仮に営業・広告を再開する場合には、社内で確立した基準に照らし合わせ、担当者の判断とせず、社内で組織的に慎重に検討を行った上で再開するようにしております。なお、営業・広告について、企業活動やオーナー様に多大な支障を与えてしまうような営業・広告活動は、社会正義に照らして行わないことはもちろんですが、そのような過剰な活動により民法上の不法行為責任を負う可能性があることを周知徹底しております。 お客様の適切な意思決定を支援する観点から、正しい倫理的価値観のもと、例えば、当社の名称や担当者名を名乗らず、仲介契約やFA契約の締結について勧誘する目的である旨を告げずに行う営業・広告を行いこと、仲介契約やFA契約の締結に際し意思決定の上で必要な時間を確保せず即時のご判断を迫ること、M&Aの意向がないあるいは存在しない企業を提案すること、過大な企業価値の試算を提示すること、事実と相違する相手方の財務状況や今後の見通し等を提示すること、その他M&Aの成立の可能性や諸条件について確定的な判断を下すこと等、お客様に誤認を招くような営業・広告活動は行いません。
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2. 仲介契約・FA契約の締結
- 契約締結前に契約に係る重要な事項を記載した書面を交付して説明を行い、説明後、依頼者が契約内容を理解し、適切に判断するために、充分な時間を与えるべきである。
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弊社は、お客様に対してM&A会社が仲介業務を提供するか、フィナンシャル・アドバイザリー業務(FA業務)を提供するかは、M&A会社が決めることではなく、お客様が決めることであると考えています。弊社は、お客様のご意向や、お客様を当事者としたM&A取引を想定して、かつ仲介業務のメリット・デメリット、FA業務のメリット・デメリットを丁寧にご説明した上で、お客様に最適なサービス(仲介業務またはFA業務)をご提案しております。 具体的には、仲介契約またはアドバイザリー契約の締結に先立って、重要事項説明書を用い重要な事項についてその内容等を丁寧に説明するよう徹底しております。重要事項説明書でご説明する主な内容は以下の通りです。なお、説明後は、適切なご判断に資する充分な検討時間を確保しております。また、契約内容の変更等のご要望に対しては誠実に対応致します。
- 仲介業務とFA業務の違いと特徴
- ご提供する業務の範囲・内容
お支払いいただく手数料の対価としてM&Aプロセスの各段階で弊社が提供する業務を詳しくご説明します。
- 担当させていただく者の保有資格、経験年数、M&A成約実績
- お支払いいただく手数料、およびその支払時期等
手数料の算定に使用する、料率、手数料の基準となる金額、最低手数料の額、手数料が発生する時期等を具体的にご説明します。
- (仲介の場合) 相手方から受領する手数料
手数料の金額の他、適用する料率、基準となる金額、最低手数料、手数料発生の時期について、相手方を含めた手数料の総額がM&A成立やその諸条件に影響を与える可能性があることも含めてご説明します。重要事項説明による説明後に、相手方の手数料が確定した場合または変更が生じた場合は、あらためてお客様にその内容をご説明します。お客様の手数料を減額する場合、相手方の手数料の増額有無もあらためてお客様にご説明します。
- 手数料に含まれていない実費等
- 秘密保持に関する内容
- 専任条項の内容
- 直接交渉の制限に関する内容
- テール条項(契約終了後に弊社が紹介した相手方と成約した場合の取扱い)の内容
- 契約期間と更新に関する内容
- 契約解除、中途解約に関する内容
- 弊社の責任(免責)に関する内容
- 契約終了後の効力を有する条項の明確化
- 利益相反のおそれがあると想定される事項の明確化
- (譲渡側への説明の場合) 譲受側に対して実施する調査の概要
- (譲渡側への説明の場合) 業界内での情報共有の仕組みへの参加有無
なお、上記の内容は、契約を締結する権限を有する方(個人の場合はご本人。法人の場合は代表者または契約締結について委任を受けている方にご説明を行います。
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3. バリュエーション(企業価値評価・事業評価)
- 評価の手法や前提条件等を委託者に事前に説明し、評価の手法や価格帯についても委託者の納得を得ることが必要。
- 一般的にバリュエーションは一方当事者の意向が反映されやすいため、仲介者はバリュエーションを実施すべきではない。
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価格交渉について利益相反の懸念がある仲介業務の場合は、企業価値評価の業務は行っておりませんが、マッチング以前のM&A検討の初期段階において意思決定のご参考として、企業価値の試算を実施する場合があります。その場合、以下の事項が明記されています。
- M&Aにおける自社の企業価値を知りたいとお考えのお客様に、簡易的な企業価値を試算し、企業価値における算定方法や考え方を把握していただくことを目的としていること
- 簡易試算にあたり、想定される相手方の意向や意見等を考慮した場合にはその内容
- 必要に応じて、外部の専門家からの助言を徴求した上で、お客様が独自の判断に基づきご検討をしていただくこと
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4. 譲受側の選定(マッチング)
- 譲渡側の名称を含む詳細情報の開示は、ノンネーム・シート等の提示により関心を示した候補先に対して、譲渡側からの同意を取得し、候補先との秘密保持契約を締結した上で実施する必要がある。
- 譲渡側からの同意については、開示先となる候補先ごとに個別に同意を取得することが必要である。
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譲受側の選定については、譲渡側お客様とよく協議をした上で、具体的に打診を行う相手先を確認し、打診の結果は速やかにお客様へ連絡します。 その上で、関心を示した相手先に対して、お客様より個別に同意を取得し、かつ、お客様(譲渡側)と相手方(譲受側)の当事者間での秘密保持契約の締結をお願いしております。 当事者間の秘密保持契約の締結前の段階で、お客様の名称を含む詳細情報が相手方に開示することはありません。
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5. 交渉
- 特に譲渡側がM&Aを経験することが初めてである場合が多く、慣れない依頼者にもM&Aの全体像や今後の流れを可能な限り分かりやすく説明すること等により、寄り添う形で交渉をサポートすることが必要である。
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「顧客中心主義に基づく業務運営方針」の方針4にあります通り、M&Aのプロセスについて、分かりやすいスケジュールを作成し、どの場面でどのような意思決定が必要になるか、どの場面でどのような資料やデータを準備する必要があるかについて、お客様に丁寧に説明することを徹底しております。
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6. 基本合意の締結
- デューデリジェンスに進む前に、それまでの交渉の結果を確認し、譲受側に独占交渉権を付与する等の趣旨から、原則として基本合意を締結することが望ましい。
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特殊な事情がある場合を除いて、それまでの協議結果が記された基本合意の締結を推奨しております。譲受側のデューデリジェンス実施前に、両当事者で合意事項を確認する基本合意の締結は重要なマイルストーンであると認識しております。 また、譲受側が複数存在している場合では、基本合意書の締結に代わり、譲受側から提示される意向表明書に対し譲渡側が承諾書を提出する方式で、譲渡側と譲受側で基本的な合意内容を確認、理解するプロセスとすることがあります。
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7. デューデリジェンス(DD)
- 譲受側が要求する資料に関して、譲渡側の資料準備を促し、サポートすることが必要である。
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DDでは限られた時間の中で、譲渡側で多岐にわたる資料等の開示を行う必要が生じるため、譲受側によるDDを円滑に実施するため、開示資料の整理、受け渡し等においてサポートを行います。
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8. 最終契約の交渉・締結
- 最終契約締結までの期間において、譲渡側と譲受側の双方が可能な限り納得し、かつ、M&A成立後に当事者間でトラブルが発生するリスクを低減した形で(低減の上でなおリスクが残る場合は、少なくともそのリスクを当事者が理解した形で)、最終契約が締結されるように支援する必要がある。
- 最終契約後、クロージング後に当事者間で争いに発展する可能性があるリスクについて、最終契約の締結までの調整の実施や依頼者への説明といった対応が求められる。
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最終契約後、クロージング後を想定し、最終契約の締結前に主に以下に記載するリスク要因等について調整を行い、両当事者間の理解の醸成を支援しております。また、当社は、クロージング後の支払や手続き、最終契約後の支払の調整や修正、最終契約後の譲渡側の資産や会社への貸付金の整理、最終契約からクロージングまでの期間について、両当事者間で充分に調整がなされていない段階で、リスクを内在する可能性のある条項やスキームを安易にご提案は致しません。仮にご提案する場合には、担当者の判断ではなく、当社の組織的な判断としてご提案し、かつ、その内容に内在するリスクの詳細を事前またはリスクを認識した段階で、そのリスクから生じる結果について可能な限り具体的にご説明します。 最終契約の締結にあたっては、契約内容に漏れがないようお客様に対して再度の確認をお願いしております。
- 譲渡側の経営者保証の取扱い
お客様の経営者保証に係る意向を確認し、M&A成立前に士業等の専門家や保証提供先の金融機関に事前にご相談されることも選択肢である旨をご説明しています。なお、金融機関等に対して事前相談を行う場合、仮にM&Aが成立しなかった際の情報の取扱い等の留意点を助言し、譲渡側経営者様の適切なご判断を支援します また、お客様より士業専門家や金融機関へのご相談をご希望される場合には、その実施を拒むことは致しません。具体的には、お客様との間で締結している秘密保持に関する契約の対象から士業専門家や金融機関を除外し、譲受側と締結した秘密保持に関する契約がある場合には、同様に相談する先を除外するよう働きかけます。 加えて、経営者保証の取扱いに関し、譲受側とも協議した上で最終契約への記載も検討すべき事項と認識しています。具体的には、保証解除または保証移行を譲受側の義務(例:譲受側が最終契約締結からクロージングまで間で、保証解除や保証移行の可否を金融機関から組織的な表明を取得する。金融機関から保証解除や保証移行を承諾する旨の表明を得た場合、クロージングまでに必要となる手続きを金融機関に行うこと、代表者の変更登記の準備することを最終契約に記載する)とした上で、仮にその義務が履行されなかった場合の条項も最終契約に記載する方向で調整します。その上で、万全を期す場合には、クロージング時に、代表者の変更登記とともに保証の解除・移行の手続きを実施する、あるいは譲受側が保証対象の債務を借換え等により返済するといった方法の検討をご提案します。
- DDの実施の重要性の説明、DDの結果と最終契約の記載事項の妥当性
DDの結果を踏まえて最終契約に表明保証が盛り込まれることになります。その表明保証の内容がDDの結果を適切に反映しているか、期間は責任上限の設定有無や適用される場面が明確か等により、譲渡側が過大な表明保証責任を負うこととなり、当事者間で争いが生じるおそれがあることをお客様にご説明します。
- クロージング後の譲渡対価の支払・手続き、最終契約後の支払の調整など
- 最終契約からクロージングまでの期間の妥当性
- その他、両当事者間で合意した内容等について最終契約への適正な反映
仮に最終契約締結後やクロージング後に両当事者間での争いに発展するおそれのある事項が最終契約に含まれる場合は、最終契約締結前にその事項の詳細と想定されるリスク等について可能な限り具体的なご説明を致します。
以上のリスク要因を踏まえ、両当事者にご納得いただけるスキームや、最終契約の記載事項を提案、検討してまいります。
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9. クロージング
- クロージングに向けた具体的な段取りを整えた上、当日には譲受側から譲渡対価が確実に入金されたことを確認することが必要である。
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原則としてクロージングの場に弊社が立会うこととしており、その場で必要な手続きや入金の確認を行います。
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Ⅲ 不適切な譲受側の排除に向けた取組み
1. 譲受側に対する調査
- 譲受側が、最終契約を履行し、対象事業を引き継ぐ意思・能力を有しているか確認する観点から譲受側に対する調査を実施することが求められる。
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不適切な譲受側を最大限排除する観点から、譲受側と仲介契約またはFA契約を締結する前に譲受側の調査の概要をご説明し、M&Aプロセスが進捗する過程で適切に必要な調査を実施し、原則として基本合意の締結前までに、遅くとも最終契約の締結までに譲受側に確認を行うように致します。 具体的には、譲受側の税務申告書や商業登記簿の確認、これらに記載のある代表者や役員および株主当の関係者も含めたコンプライアンスチェックを想定しております。特に譲渡側が債務超過の場合など、M&A成立の上で譲受側の信用が重要となるケースでは、譲受側の決算公告や税務申告書を確認する等、慎重かつ適切な調査を実施します。
- 財務状況に関する調査(持続可能な財務状況、譲受対価に関する資力など)
- コンプライアンスに関する調査(反社会的勢力の適否、M&Aに関する過去のトラブルなど)
- 事業実態に関する調査(事業拠点などの実態・有無など)
- 最終契約の実行可能性の調査(譲受対価の調達可否など)
- その他
取得した情報の内容を精査および同様の行為による譲渡側への不利益の考慮により慎重に検討の上、仮に実施する場合には組織的な判断により行います。譲受側の不適切な行為にかかる情報を得ている場合には譲渡額に対して開示致します。
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2. 不適切な行為に係る情報を取得した場合の対応
- 不適切な譲受側に係る情報を取得した場合には、当該情報を担当者レベルに留めず、組織的に共有し、当該譲受側に対するマッチング支援の提供を慎重に検討するための体制を構築しなければならない。
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上記Ⅲ 1.の調査の結果、不適切な可能性のある譲受側を認識した場合には、社内のデータベースに登録を行い、組織的に共有できるようにしています。
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Ⅳ 仲介契約・FA契約の契約条項に関する留意点
1. 専任条項の留意点
- 仲介契約・FA契約において、他のM&A専門業者への依頼を行うことを禁止する条項(専任条項)は、情報の拡散を防止する観点で一定の合理性が認められる。
- 専任条項を設ける場合、他の支援機関にセカンド・オピニオンを求めることを許容すべきである。また、仲介契約・FA契約の契約期間を最長でも6ヶ月~1年以内を目安として定めることが望ましい。
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専任条項は、情報管理および案件の進行への支障の観点から、弊社と同様の業務を第三者へ依頼することは避けていただくものですが、対象範囲は弊社と同様の業務に限定しています。仮にお客様がご要望の場合には、その内容を確認させていただいた上で、セカンド・オピニオンの取得を妨げることはございません。その際、M&A取引の相手方への情報提供の禁止、ご相談される先を法令上または契約上の秘密保持義務がある者や公的機関への限定当、情報管理についてアドバイスさせていただきます。 契約期間は原則1年とさせて頂いておりますが、状況により適宜変更させていただいております。また、お客様が任意の時点で仲介契約またはFA契約を中途解約することは可能です。
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2. 直接交渉の制限に関する条項の留意点
- 依頼者がM&Aの相手方となる候補者と、M&A専門業者を介さずに直接、交渉又は接触することを禁じる旨の条項については、交渉の窓口をM&A専門業者に一本化することで交渉が円滑化し得る等の観点から、一定の合理性が認められる。
- 依頼者が「自ら候補先を発見しないこと」及び「自ら発見した候補先と直接交渉しないこと(依頼者が発見した候補先とのM&A成立に向けた支援をM&A専門業者に依頼する場合を想定)」を明示的に了解している場合を除き、当該M&A専門業者が関与・接触し、紹介した候補先のみに限定すべきである。また、直接交渉が制限される交渉は、依頼者と候補先のM&Aに関する目的で行われるものに限定すべきである。
- 直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、仲介契約・FA契約が終了するまでに限定すべきである。
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弊社では、M&Aを円滑に進めるため、契約書において、原則直接交渉を制限する条項を設けております。当該条項において「本提携に関して」と限定する文言を明記しており、一切の接触を禁止しているものではありません。 また、直接交渉の制限に関する条項の有効期間は、契約終了と同時に終了します。
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3. テール条項の留意点
- 仲介契約・FA契約において、契約終了後一定期間(テール期間)内に、譲渡側が譲受側でM&Aを行った場合に、当該M&A専門業者が手数料を取得する条項(テール条項)は、最長でも2年~3年以内を目安にすることが望ましい。
- テール条項の対象は、当該M&A専門業者が関与・接触し、譲渡側に対して紹介した譲受側のみに限定すべきである。
- テール条項の対象としては、ネームクリア(譲受側に対して企業概要書を送付し譲渡側の名称を開示すること)が行われ、譲渡側に対して紹介された譲受側に限定すべきである。
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テールの期間は原則2年としており、対象は弊社が関与・接触し、紹介したのみ企業に限定しております。 テール条項の対象をノンネームシートの提示だけでなく、すくなくともネームクリア(譲受側に対して企業概要書を送付し譲渡側の名称を開示すること)が行われ、譲渡側に対して紹介された譲受側に限定しております。具体的には、譲渡側におきましては、弊社が譲渡側企業のノンネームシートを提示して関心を示したことを譲渡側に対して伝えした上で、譲渡側の名称を含め企業概要書を開示した譲受候補先をテール条項の対象とし、譲受側におきましては、譲渡側の承諾の上、譲受側に名称を含め企業概要書を開示した譲渡側企業をテール条項の対象としています。従いまして、相手候補の意向を確認する前に、単にお客様に提示しただけの相手候補企業はテール条項の対象にはなりません。 なお、弊社が専任のM&A会社ではなく、かつ他のM&A会社から先に同一の候補先の紹介があり、お客様がその候補先との検討を他のM&A会社に依頼している場合には、テール条項を根拠に手数料を請求することはありません。 また、ガイドラインにおいてはテール条項の対象としては、ネームクリアが行われ、譲り渡し側に対して紹介された譲り受け側に限定すべきことを示しており、これを満たす場合においてすべからくテール条項の対象について有効性を認めるものではありません。
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Ⅴ 仲介者における利益相反のリスクと現実的な対応策(仲介契約を締結する場合)
1. 仲介業務の留意点の説明
- 仲介契約締結前に、譲渡側・譲受側の両当事者と仲介契約を締結する仲介者であること(特に両当事者から手数料を受領すること)を両当事者に説明を行い、了承を得ておく必要がある。
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仲介契約締結前に、重要事項説明書をもって、仲介業務とFA業務の違い、仲介契約の場合はM&Aの相手方からも手数料を受領することを丁寧に説明致します。ご説明後、ご了承をいただいた上で仲介契約を締結するとの手順を厳格に遵守しております。 また、デューデリジェンスのように一方当事者の意向を踏まえた内容となりやすい業務に関して弊社は自ら行うことはせず、デューデリジェンスの実施時の調整及び助言の業務に留めること、必要に応じて士業専門家等の意見を求めるようご提案することを弊社の業務としております。この点も重要事項説明書に記載しております。
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2. 利益の対立が想定される事項の明示的説明
- あらかじめ両当事者間において利益の対立が想定される事項について、各当事者に対して明示的に説明を行う必要がある。
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仲介業務によって譲渡側と譲受側で利益の対立が想定される事項についても重要事項説明書の中で説明致します。また、両当事者間で利益の対立が想定される事項に係る情報(一方当事者にとってのみ有利または不利な情報を含みます。)を認識した場合には、この点に関する情報を各当事者に対し適時に明示的に開示致します。 「顧客中心主義に基づく業務運営方針」の方針2にあります通り、両当事者の間で公平であることを貫き、不当に一方当事者の利益または不利益となるような利益相反行為は行いません。
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3. 利益相反防止のための禁止事項の明確化
- 仲介者自身または第三者の利益を図る目的で利益相反行為は行わず、仲介契約書において利益相反行為は行わない旨を仲介者の義務として定める必要がある。
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仲介契約において、以下の事項を受託者の義務(禁止行為)として明記しております。
- 相手方から追加で報酬を取得し、または反復的な取引が起こり得る相手方を優遇し、委託者の要望に反したマッチングの優先的実施または不当に低額(高額)な譲渡価額への誘導等、相手方に便宜を図る行為。
- 相手方の希望した価額よりも低額(高額)で成立した場合、相手方に対し、正規の報酬とは別に希望した価額と成立した価額の差分の一定割合を報酬として要求する行為。
- 委託者または相手方当事者より伝達を求められた事項について、他方相手方に対して伝達しない行為。委託者または相手方当事者が実際には告げていない事項を偽って他方相手方に対して伝達する行為。
- 委託者にとってのみ有利または不利な情報を認識した場合に、当該情報を委託者に対し伝達せず秘匿する行為。
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M&Aガイドラインに記載のあるその他の事項
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上記の他、中小M&Aガイドラインの趣旨に則った対応を行うよう努めております。
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